世の中のちょっと面白い人を紹介するサイト「aboutalk」
「DailyLifeはContents」を合言葉に、ライフスタイルやこだわり、偏愛で切り取られた「日常」をお届けします。
一般家庭への「出張料理人」
あなたの自宅で料理を作ってくれる「出張料理人」。いつものキッチン、いつもの食卓に本格フランス料理が並ぶ様子を想像したことがあるだろうか。
名古屋を中心に、一般家庭への出張料理人として活躍されているシェフガッキーこと、稲垣直也さんに話を伺ってみた。
—シェフガッキー
名古屋を中心に出張料理や料理教室、料理ブログを運営。
調理師学校を卒業後、フランスの2つ星レストランや西麻布の高級レストラン、六本木の高級ホテルを経て、地元愛知県に戻る。名古屋市内のビストロ、カフェ、バイキングレストランに勤務し2016年に独立。
「シェフガッキーの料理ブログ」では、ラタトゥイユ、ジェノベーゼパスタ、トマト缶で作るミネストローネが人気だ。
芸能人や資産家のイメージがある出張料理
「出張料理」と聞くと、芸能人が自宅に銀座のお寿司屋さんを呼ぶようなイメージだが、ガッキーさんは一般のご家庭にも出張されるという。実際のところ、どんなお客様が多いのだろうか。
「普段の延長で使ってくださる方もいらっしゃれば、誕生日や結婚記念日、喜寿のお祝いなどにご依頼頂くこともあります。家族揃ってレストランに行こうと思うとハードルが高いお客様もたくさんいらっしゃるんですね。
例えば小さなお子様がいらっしゃるとか。ご家庭の中で、ハレの日を演出できる、そんな注文を頂いて出張していますよ。」
お客様宅で料理をするということ
打ち合わせはメールや電話で。お客様のご自宅に行くのは出張料理の日が”初めて”のケースがほとんどだとか。初めて出張したお客様のキッチンで、上手く料理できるものなのだろうか。
「事前のお打ち合わせの際にお料理のご希望や調理器具、お皿などの有無についてお話させて頂きます。当日は1時間半ほど前にお伺いし、調理器具やキッチンのルールなどについてお打ち合わせをします。キッチンにあるスポンジやゴミ箱の決まり、使ってもよいお皿や調味料については当日、確認させて頂きます。」
出張料理に行ったその場で、お客様のご家庭のルールを吸収するという。それも自然に、家族の一員として溶け込めるくらいに。動画を見ても分かるとおり、自然な空気で料理を楽しんでいる。
家庭に飛び込むことで見える空気感
出張料理人を始めて2年半、リピートされるお客様もいらっしゃるが、まだまだ新規のお客様が多いそうだ。初めてのお客様だからこそ、一気に飛び込んでいくという。
「お客様の家庭に飛び込むような気持ちでやっています。自宅に他人がいると、どうしても気を遣ってしまったり、ぎこちない空気になってしまう。せっかくご自宅で料理を楽しんで頂くのに、リラックスできない空気は嫌なんですね。
僕が家族の中に飛び込むことで、キッチンにいることが不思議じゃなくなるんです。いつものキッチン、いつもの食卓、いつもの家族。その空気を作ることは、料理を作ることと同じくらい大切にしています。」
焼き鳥屋さんで学んだカウンターの「外」と「内」
「自分がお客さんとしてカウンターのあるお店に行ったとき。大将と話をするのが好きだったんですよね。だから、今度はカウンターの内側に行ってみようと思って。愛知県に戻ってきてから焼き鳥屋さんでアルバイトをしたんです。
そこで”コミュニケーションをとる”ということを学びました。料理だけでなく、その場の空気や雰囲気を作るといったような特訓をしたのはカウンターの中でした。」
焼き鳥屋さんで身に着けたコミュニケーション術。ただ淡々と料理を作る、サービスするだけなら僕が行かなくてもいい。そんなことをおっしゃっていました。料理だけでなく、ご家族のその日のストーリーを作るのが出張料理人なのでしょう。
新しい一歩はブログを始めたこと
コミュニケーションが好きになったガッキーさん、ブログを始めたことが大きな転換期になったとのこと。
「愛知県に戻ってくるまでは、朝から晩まで働きっぱなしだったんですよ。1日16時間を越えることが普通でした。仕事が終わって、お風呂に入ったら寝る。起きたらまた出勤。そんな生活だったんですが、逃げ出したくなるほどではなかったんです。
愛知県に戻ってきてみると、勤務時間が随分と改善されました。ぽっかりと時間ができたので、せっかくならレシピブログを作ってみようと始めたのが”シェフガッキーの料理ブログ“だったんです。」
シェフが書いたレシピブログ、本場フランスでの経験や、東京のレストランでの記憶を記事にされたとか。
「レシピブログって、色々とあるんですけどね。
料理に慣れている人はいいんですけど、初めて料理する人には難しいと思うところがあるんです。だいたいこれくらい、という感覚が伝わりづらいので、分量を量りながら数値化して記事にしています。
当時の彼女(今の奥様)が料理人ではない目線で、作りやすいか、分かりやすいかという点をチェックしてくれています。おかげで随分とアクセスが伸びるようになりました。」
人気の記事は「ラタトゥイユ」、また最近公開された「ミネストローネ」も評判だという。
ただ作り方を掲載するのではなく、料理名の由来や、材料の切り方、料理していく上でのポイントなどが解説されているのは、さすが調理師専門学校を卒業され有名レストランで修行されたシェフならでは。
ブログでの発信が面白いことを引き寄せてくれる
以前に比べると時間に余裕ができたからと始めたブログが、次々を面白いことを引き寄せてくれたようだ。
「ブログの書き方なんて全く分からないまま始めたんですけど、先にあったラタトゥイユなどは、ニュースアプリにも取り上げられました。ブログというインターネットのオンライン上で活動していく中で、料理人や調理師として活動している方と出会い料理コミュニティを作ったり。
月2回程度から始めた出張料理人もブログなどで宣伝しているうちに、今では月20回を超えることもあるんですよ。さすがにヘトヘトになりますけど、やりきった達成感の疲れは最高ですね。
最近では、缶詰レシピを公開していたことで、テレビ東京さんの『 TVチャンピオン 極~KIWAMI~【缶詰アレンジ料理王決定戦!】』にも出演しました。」
なんと缶詰アレンジ料理王決定戦では見事優勝された実力の持ち主だったのだ。
次の柱を建てるとき
最後に語ってくださったのは、料理人としてのこだわりを、もっと多くの人に届けていきたい。ということだった。
「自宅で作る料理は、賄いのようなシンプルなものが多いんですけど、バターとブラックペッパーは譲れません。マーガリンではなく、バターを使う、ブラックペッパーはホールで買いその場で挽く。香りが全く違うので、これだけはこだわっています。
そういったこだわりの何かを料理に興味がある方に届けたくて、通販をやろうと考えています。
パティシエの友人と通販を始める、例えばレバーペーストや、ジャムなどを売ることをやってみたいですね。」
レシピブログ、出張料理人、通信販売、来年は3つの柱で活動すると、熱く語ってくださった。
さいごに
シェフが自宅に来る「出張料理」、違う世界の出来事かと思っていたが、随分と身近な存在のようだった。
飲み物はお客様が用意するスタイルなので、好きな銘柄のシャンパンやワインをたっぷり楽しむことができる。
いつものキッチン、いつもの食卓、そこから作り出されるのは高級レストランの料理。日常と、非日常が交じり合った出張料理を名古屋市近郊でお願いするならシェフガッキーで決まりでしょう。
カジュアルコースの場合は1人5,500円~(4名から)、お客様のご要望に沿って柔軟に対応してくださいますよ。
シェフガッキーの出張料理については、ガッキーさんのブログからお問い合わせくださいませ。
写真提供:シェフガッキー氏