偏愛と日常を届けるインタビューメディア「aboutalk」、先日公開した書漂家 クロギタロウさんの記事で写真を提供して下さった しゅんさんぽ氏にお話を伺いました。しゅんさんぽ氏が撮るポートレート写真。そこに隠れている写真への想いとは。
–しゅんさんぽ
1992年生まれ、兵庫県在住。会社員として働きながら、休日になると全国を飛び回りシャッターを切る。個人ブログ「しゅんさんぽ」では、デジタルカメラ、フィルムカメラでの作例を中心に、写真に密着した情報を発信している。
ツイッター…(@shunsanpo)
ブログ…https://shunsanpo.com/
彼女の写真が撮りたい
父親の影響もあると思うんですけど、小さい頃から身近なところにカメラがあったので。自然とカメラには馴染んでいました。
家族で旅行に行ったときは、「カメラ、カメラ」と言いながら、父親からカメラを奪って写真を撮っていたみたいです。
その頃から僕のカメラ好きが始まっていたんですよね。
初めて自分で買ったカメラは19歳の頃でした。大学生だったこともあり、友達の写真ばかり撮っていましたね。この頃からカメラが、写真がより一層好きになっていきました。
人を撮る中で、「彼女を綺麗に撮りたい」と強く思うようになったんです。カメラを真剣に始めたのもこの頃からですね。その当時の彼女とは結局別れてしまいましたが、写真を撮る楽しさを教えてくれた彼女には今も感謝しています。
そうやって思い出を撮りたい、残したい。そんな気持ちから、どんどんと写真にハマっていきました。
アルバムに「残す」ということ
実家には、僕の小さな頃の写真があるんですけど、アルバムになってるんです。日付やコメントが書かれて1冊のアルバムに。それが何冊も保管してある。
そのアルバムを定期的に兄弟で見返すイベントがあって。生活の中に写真もアルバムもあったんですよね。
だから僕も撮った写真を自然とアルバムにしていたんだと思います。
写真のいいところって、形あるものとして残せること、みんなで楽しめること、撮り終わったあとも「このときは暑かったよね」「すごく楽しい場所だったね」と話ができるところなんです。
もちろんデジタルカメラで撮影した写真も、ちゃんとプリントアウトしてました。誰に頼まれたわけじゃないですけど、旅行の写真もアルバムにしていたんですよ。
今はまだ独身ですけど、家庭を持っていたら、アルバムを作って家族が見られる場所に置いておくんじゃないですかね。僕もそうやって育ってきて、すごくいい影響を受けているので。
目の前の人、日常の1枚こそ大切に
–先日、しゅさんぽ氏の写真をお借りしたんですけど、欲しいところに欲しい絵がある、感情が伝わるシーンで切り取られた素敵な写真でした。
ありがとうございます。
人を撮っていた影響なんでしょうか。昔の写真を見返していても、やっぱり人を撮っていることが多いんです。すごい写真を撮ってやろう!という気持ちはあんまりないんですよね。
どちらかと言うと日常の一コマを撮りたいんです。小学生のころは変な格好をしている弟や、家の前で姉と姉の友人が遊んでいる瞬間とか。本当に日常の一コマばかり撮影していました。
そういえば、ホントレート(*1)の取材のときも「ダカフェ日記」という本を選びました。
(*1)クロギタロウさんがされている「人生に寄り添う1冊を楽しむ様子を写真に残したい」という企画。その企画の取材はこちら、しゅんさんぽ氏のホントレート取材記事はこちら
この「ダカフェ日記」という本は、家族の日常写真を1ページに1枚、その下にコメントが書いてある写真集なんです。
日常を大切に残しておけるっていいな。そんな気持ちがありました。無意識のうちに、日常の中のポートレートを求めていたんですよね。
見せる写真、魅せる写真
その日常で撮ったポートレート写真を見せる場がある、それも嬉しいんです。
イチオシの写真が撮れたとしても、それ1枚で勝負できるだろうか。ツイッターに1枚だけアップして満足するだろうか。もし4枚の写真をアップしたらどうだろうか。ブログの記事にして20枚ほどの写真をアップしてみたら。
ブログにアップするときは、時系列で単純に並べるのではなく、色合いを揃えたり、明るさを調整したりと、見やすい並びになるよう心がけています。
そういえば「見せ方」の話ってあまりしないですね。カメラの話やその場の写真の話がどうしても多くなってしまいますもんね。
アルバム作りの影響が本当に大きいと思うんですけど、写真の並び順や、そこに込められた思いが気になってしまうんですよ。
僕の撮る写真はいわゆる記念写真だと思うんですが、自分が好きな写真をプリントアウトして、いい感じに残しておきたい。大きく引き延ばした1枚を壁に飾るよりも、アルバム1冊を通して大切なものに仕上げていきたいです。
だから何枚もの写真を合わせて1つの作品にできるブログも、それに近い感覚ですね。
今も昔も、アルバムが終着地点なんです。
人見知りを超える行動力で、輪の中に飛び込む
–写真友達や、一緒にフォトウォークする仲間はどうやって見つけられたんですか?
同じ趣味を持った人と友達になりたくて、インターネットで調べました。
「写真・関西・サークル」みたいな感じで。
そうしたら、たけさんぽという個人ブログを運営しているたけしさんが主宰しているカメラサークルとご縁があって。一緒に写真を撮りに行く仲間を見つけることができたんです。
本当は人見知りで、知らない人の中に飛び込むのは苦手なんですけど。人見知りを上回る好奇心で、気付けば参加していました。
人見知りするくせに、人に会いたくなっちゃうんですよ。一緒に写真ができる人いないかなーって。学生時代もそれなりに友人はいましたけど、カメラ友達と呼べる人にはなかなか巡り会えませんでした。
今は、インターネットを通じて、全国に写真仲間ができました。あちこち行く先に一緒に写真を撮ってくれる仲間がいるんですよ。
写真は楽しさ全部乗せ
写真は本当に楽しいものなんです。
- 行く楽しみ
- 撮る楽しみ
- できあがる楽しみ
- 公開する楽しみ
- 公開することで誰かと学べる楽しみ
5つも楽しみがある、というより写真そのものが僕の楽しみなんです。
写真を仕事にしていたら、また違った思いがあるかもしれません。今はとにかく楽しみたい。それしか考えられないです。
旅行も好きなので、あちこち行くことが楽しい。旅先でシャッターを切る、これきた!!絶対に良い感じに写ってる。そんな瞬間も楽しい。
撮った写真ができあがり、それを見せることができる。どんどん楽しいことが出てきます。
あとは目立ちたがり屋の僕を、被写体として目立たせてくれるのも嬉しいですね。人見知りで地味で目立たない存在なんですけど、被写体として撮ってくれる。そしてそれをきっかけに話しかけてもらえる。本当に写真が僕を支えてくれていますね。
とにかく僕が伝えたいのは「写真って楽しいんだよ」ってことかもしれません。
インタビューを終えて
先日の記事でお借りすることができたしゅんさんぽさんが撮った写真は「この写真のために記事を書こう」と書き手の心に火を付けてくれるような素敵な写真でした。
ご縁があって毎月のようにお会いしているのですが、写真に対する考えやスタンス、思い出をじっくり聞いたのは初めてでした。同じ「写真好き」という枠の中にいても、こんなにも方向性が違うのか、と。
しゅんさんぽさんに話を聞いたことで、他のカメラ好きの方にもインタビューしたい! やっぱり書き手の心に火を付けるのが上手なんですね。
貴重なお話、ありがとうございました。
しゅんさんぽ
ツイッター…(@shunsanpo)
ブログ…https://shunsanpo.com/
写真協力…しゅんさんぽさん(@shunsanpo)、けーすけさん(@sanaginagisa555)
取材・文・撮影…スズキヒデノリ(@acogale)
[aboutalk編集部]