産後うつからの生還、自身の体験を発信するリトマムさん

偏愛と日常を届けるインタビューメディア「aboutalk」、今回はご自身の産後うつの経験を発信し、出版クラウドファンディングに挑戦中のリトマムさんにお話を伺いました。

クラウドファンディングを利用した出版を目指すプラットフォーム「EXODUS」での挑戦が目前に迫った彼女の心の奥には、どのような気持ちがあるのでしょうか。

–クリエイター/デザイナー リトマム

一児の母。SNSではデザイナー&クリエイターとして活動中。幼い頃からの夢は小説家や絵本作家になること。クラウドファンディングの出版企画を、夢を叶える第一歩として意気込む。子育てでは自身の子どもにめっぽう甘く、我が子のことになると、とたんに涙もろくなる一面も。

ツイッター…(@Little__mom)
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孤独な子育て、限界に

今から3年前に出産を経験、その3ヶ月後にうつになりました。

孤独な子育て。 メールや電話でSOSを送っても仕事中の夫や母は、すぐに返事もできない。
泣き続ける我が子。そんな我が子をすぐにでも抱っこしてあげたい、そう思っているのに。アタマでは分かっていても、身体が動かないんです。

産後の時間が、こんなにも辛いものだとは思いませんでした。それでも、いいお母さんでいたかった。いつの間にか、自分をどんどん追い詰めてしまっていました。

「誰かとしゃべりたい」気持ちをSNSが助けてくれた

–相談できる相手もおらず、家に閉じこもってしまったリトマムさん、外の世界と繋がるきっかけになったのはSNSだった

SNSには随分と助けられました。産後、一人になりすぎたんです。でも、ひとりで籠もっていても進展は無いんですよね。

誰かに反応してもらうことが無かった。それが辛かったですね。
SNSは、その先に誰かがいるということを実感させてくれます。孤独じゃなくて、誰かからフィードバックをもらえるありがたさがありました。

自分の気持ちを整理するために、紙のノートに書いたりもするんですけどね、それだと当たり前だけど誰からも反応はないんですよ。(笑)

でも、インターネットの世界を通じて、書いている先に「誰かがいる」という気持ち、その誰かと繋がれたりこの状況を変えていける可能性を感じることができました。

子供がいると、なかなか外に出掛けられないんですよね。インターネットだと家にいながら遠くの人にも自分の考えていることを読んでもらえる。外に出ることが難しい中で、社会との接点を作ってくれました。

「忙しい」を理由に夢を忘れてしまった

–SNSで社会との接点ができたとしても、本を出版するまでの勢いはどこにあったのだろうか

小さいころから本が好きでしたし、本を書いてみたいという気持ちも実はずっとあったんです。小学生のころは小説を書いていました。

それが中学生になると部活や勉強で忙しくなってきて。だんだんと書くことから遠ざかってしまったんです。いつの間にか本を書きたい気持ちも忘れてしまったこともありました。

夢を忘れてしまったんですよね。

でも、やっぱり書くことを大事にしたい。書くことで自分の世界に入り込めるんです。

また、精神的に辛いことがあると、まさにその気持ちや状況が文章に乗ってくるんです。それは表現の世界にとってはチャンスでもある。うつになってしまった今だからこそ書ける文章があることに気付いていました。

自分を落ち着けるために、そして今だからこそ書ける文章で。
やってみたかったブログにチャレンジし、気持ちを書き出していったんです。

かっこつけなくても大丈夫

小さい頃から家族や親戚には自分の書いた絵本や文章を見せることが多く、身内への自己開示はわりと抵抗がなかったんです。でもインターネット上で、いきなりそれをするのは難しかったですね。

インターネットでは、ニックネームやキャラクターでもう一人の自分をつくって、自分を上手くコントロールしようとしていたのかもしれません。はじめは、「困っている自分にアドバイスをする」ようなかたちで記事を書いていました。

そのまま1年くらい発信していて、ブログの記事を読んでくれる人やSNSでつながってくれる人も増えてきたんです。私のことを受け入れてくれる人はいたんだな、と嬉しかった。

そんなときに、私が悩んできたことを、ふとカミングアウトするような形で、SNSで正直に書いてみたんですね。

そうしたら「私もそう思う」「そうだよね、大変だよね」と共感してくれる人が多くて。綺麗なことだけを書いていたときよりも、あったかい反応がたくさん返ってきました。

それから、もう私はかっこつけなくても大丈夫なんだと思えたというか、心をオープンにして書くようになりました。私も最初から「私はうつ病なんです」と正直に言えたわけじゃないんですけどね。

共感してくれるんだな、という安心感があってこそでしたね。

点Pの移動より「赤ちゃん学」「家庭学」?!

子育てでたくさん悩んで、困っている人がいる。私も経験をしないと分からないことだらけでしたね。

今、子育てに縁が無いと思っている方にも、子育てとは本当に壮絶なものがあるんだということを知っていて欲しいと思います。身の回りの人間関係、たとえば職場の上司、部下などのつながりを考えてみると、お子さんがいらっしゃったりとか、間接的にではありますが、自分も子育てに関わっているし、子育ての大変さについて知っている必要があるのではないでしょうか。

SNSで相談したり、情報収集することができるようになったからこそ、もっと色んなことを学びやすくなっているのかな、と思っています。

しかし、実際に当事者になってみないと分からないことも多いんです。
たとえば保活(=子どもを保育所に入れるために保護者がする活動)も、ものすごく大変なんです。

もし保育所に入れなければ、仕事に行けなくなってしまうかもしれない。

そして就活は一人でできるんですけどね、保活は子供と一緒にやるんです。子供が泣き出したり、おむつを替えたりしなきゃいけなかったりする中、書類を書いたり調べ物をしたりするのは本当に大変なんですよね。

一つ後悔するとしたら、赤ちゃんのことや家庭のことをもっと早くから知って、学んでおけばよかったと思っています。

こういっちゃ怒られるかもしれないんですけど、赤ちゃんがギャン泣きしていたら。
学生の頃、必死に勉強した点Pの移動を分析する計算式よりも、「じゃあ、どうやってこの場を切り抜けたらいいのか」っていう、子育ての活きた実践の知恵のほうがよっぽど役に立つんですよね(笑)

家事と育児と仕事に忙殺されても、夢を叶えたい

私は産後の辛いときに、ブログやSNSに助けられました。実は社会人になってから忙しくて、しばらくSNSから遠ざかっていたんですよね。

実際にブログやSNSで活動してみて、もっと早くからやっておけばよかった、と改めて思いました。ずっと一人で悩んでいる時は、情報もないまま、どうしていいのかさえ分からなかったですから。

まるで缶詰を開けるというミッションがあるのに、缶切りを使わないで素手で挑戦しているような。そんな問題解決のための適切なツールを全く知らないまま頑張っていた感がありましたね。(笑)

はじめてブログを書いたところ、親戚のおばちゃんに言われたんです。

「あなたはきっと、悩んでいる人の支えになるような本を書くよ」って。

「どうしてそんなことが言えるんだろう?」

とその時は不思議に思っていました。
だけど今なら分かります。今なら、同じように悩んでいる人の力になれると。自分が不安だったこと、悩んでいたこと、乗り越えたことを分かち合うことで、誰かの力に、きっとなれると。

これを発信していったら、文章を書き続けていったら、何か変わるんじゃないかなと。

だから、私は諦めないと決めたんですよね。

今回EXODUSとご縁があって、今までやってきたことが「本」になるかもしれません。だからこそ今は私のすべてをぶつけて挑戦しています。

この一人の母親の声を、知って頂きたい。

そして、私の声を、この思いを届けることで、少しでも子育てしやすい社会に、近づけたいです。
7月8日から挑戦しているEXODUSの出版クラウドファンディングも、ぜひ応援して頂けると嬉しいです。

EXODUS出版クラウドファンディング

https://camp-fire.jp/projects/view/153505

インタビューを終えて

産後うつの経験や、子育て、保活の話など、今まで触れることが無かったお話を聞かせて頂きました。その苦労もとに出版クラウドファンディングに挑戦されるとのことです。

実体験に基づく話は、面白くて深いもの。どんなストーリーなのか、楽しみですね。お忙しい中、ありがとうございました。

リトマム
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イラスト、写真提供…リトマムさん、ぱくたそ、Unsplash
取材協力…LOOKME(https://lp.lookme.me/)
取材・文…スズキヒデノリ(@acogale)

[aboutalk編集部]